大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3310号 判決

被告人 遠藤昂

〔抄 録〕

原判決挙示の証拠を総合すれば優に原判示犯罪事実を認め得るのであつて、記録に徴しても原判決の右認定に過誤は存しない。また証拠調の限度は事実審裁判所の自由裁量に委ねられたところであるから、原審が所論申請の各証人を尋問することなく弁論を終結したからといつて、爾余の証拠により原判示事実の証明が充分である以上、所論のように審理不尽の廉があるとはいえない。

次に論旨は被告人が所論日本相互殖産株式会社を退任した以後において、原判示勧誘員等が各契約者から収得した掛金については、被告人が責任を負うべき筋合でない旨主張するけれども、既に被告人が大島信邦等と共謀の上、原判示勧誘員等をして山本安雄外数名の者に対し、原判示のような虚構の事実を申し向けて未成立の前記会社を既に成立した優良な会社であるものの如く誤信させて原判示の如き内容の株金日賦契約を締締せしめ、因つて右契約者より逐次、約定の掛金を徴収したものであることが証拠上明らかであるから、その後において被告人が一方的に同会社役員なる者に退任の意思表示をしたからといつて、右契約者等に対し爾後掛金の払込を中止させるような措置を講じた形跡が全く窺われない以上、原判示勧誘員等が引き続き収得した分についても、被告人においてその罪責を負わなければならない。その他原判決には所論のような違法はなく、論旨はすべて理由がない。

(谷中 坂間 荒川)

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